大和市民活動センター

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★第38回連続共育セミナー

『海外市民活動事情』ドイツ編
  〜カールスルーエ、ブレーメンを訪ねて〜

 

2011年2月15日(火)18:00〜20:00に行われた連続共育セミナーの内容(概要)をお伝えします。

 

 

 

お話:村山真弓さん(大和市役所 市民活動課 市民活動支援担当)

 

内容

平成22年10月24日〜31日、神奈川県内12市町村の職員がドイツ・イギリスを訪問し、「住民との協働による地域活性化の取り組み」について研修を行いました(主催:神奈川県市町村振興協会)。今回は市民・市民団体・行政・企業が重なり合い、絡み合いながら「人が主役のまちづくり」を実践しているドイツの地方都市の市民活動事情から、大和市の市民活動が活性化していくためのヒントを探ります。
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(ドイツ基本情報)

ドイツはヨーロッパの中央に位置し、 16 州からなる連邦共和国です。人口は 81.750.000 人、面積は日本とほぼ同じですが山がありません。 GDP は日本に次いで第 4 位です。 1 日の労働時間は 8 時間ですが残業はなく、 1 年に 6 週間の休暇が保障されています。税金は高く、消費税は 19 %、平均的な独身労働者(子どもなし)の税負担は賃金の 52 %、 平均的な収入の夫婦(子ども 2 人)で共働きの場合の税負担は 45.2 %、どちらか一方のみが働いている場合は所得の 36.4 %となっています。教育費は大学まで基本的に無料です。 生活は質素で、料理も伝統的なものがほとんどのようです。日本のようなレジャーランドもあまりなく、余暇は散歩をするなどお金がかからない暮らしぶりです。

 

(ドイツの市民活動のかたち)

ドイツで日本の NPO にあたるのが「市民協会」です。 7 人以上の団体で簡易裁判所に申請し、税務署への定期的な会計報告が義務付けられています。トラム(路面電車)が有名なカールスルーエ市は人口約 29 万人、面積 173k uです(大和市は人口約 22 万 6000 人、 27k u)。治安は日本よりは悪く、ヨーロッパの地方都市としては良い方です。カールスルーエ市の市民協会の 1 つである「草原の果樹保護協会」は伝統ある果樹のある草原を守る活動をしています。「果樹のある草原」はドイツ人にとってはピクニックなどを楽しむ余暇空間であり、大切な癒しの空間、昆虫や鳥が棲むビオトープですが、近年は減少しつつあります。協会は 800 の果樹農家と契約を結び、オーガニックのりんごを買い取ってジュースを作り、販売した収益で農家の経営と果樹のある草原を守ります。協会には州から約 33 万円 の補助金が出ていますが、活動はボランティアで行われています。市民協会には行政職員が参加することもあります。パンフレットの作成も行政が行うなど、行政からの柔軟な対応と支援があります。

 

 

BUND (ドイツ環境自然保護連盟)は 19 70 年代半ばに生まれた環境保全団体であり、この 30 年で、会員 40 万人の全国的な環境保全団体に成長し、全国各地に事務所を置いています。 BUND カールスルーエには 6000 人の協会員がいますが、運営資金(年間約 6 万ユーロ)のほとんどは個人の寄付と会費で賄われています。社会奉仕活動を兵役の代わりとすることができたり、職業訓練として参加(費用は州が負担)することもできるなどの体制も整えられています。民間の団体に人を育てる仕組みがあり、市民活動が成熟していることがわかります。

 

 

(ストライキ)

ストライキはよくあることで、研修旅行中も駅に 3 時間足止めになりました。市民は労働者の権利なので仕方ないと思っています。「自分の時間」が権利として確立していて、普段の生活の中に職場の時間、家の時間の他に第 3 の時間があり、この第 3 の時間を使って市民活動が行われています。しかし、ストライキは消費生活を行う上では不便に感じました。

 

 

(中間支援組織)
ブレーメン市民財団は中間支援組織として市民活動団体へのアドバイスや専門家の派遣、円卓会議のプロセス形成や財政支援を行う組織です。代表のホッペンサック氏に市民活動参加への関心が高いのはなぜかを伺うと「美しい景観・街を守りたいという思い」や「有給の社会奉仕活動の制度」などを挙げられました。

 

 

(オースターホルツ地域事務所)
37,000 人の地域に地域事務所があり、道路など身近な問題について 19 人の地域評議委員が地域の地図をみながら評議しています。地域事務所は単に市に声を届ける場所ではなく、法的な拘束力のある決定権を有しています。

 

 

(オースターホルツ テネバー母親センター)
ドイツ北部のオースターホルツの、 80 以上のさまざまな国籍の、主に低所得層の人たちが住む高層団地地区にあるセンターです。子どもを預け合うことから始まり、今ではリサイクルショップ、インターネットカフェを経営し、雇用の創出や職業訓練も行うような団体に成長しています。資金は国や EU から出ています。自分たちの生活を良くしたいという思いから出発した活動ですが、人々の必要から生まれたものは続くのだ、と感じました。また、このセンターのお料理はとてもおいしいものでした。

 

 

(まとめ)
ドイツでは市民活動を活性化させる仕組みが整い、成熟しています。行政と市民協会と企業が協働しており、人を育てる仕組みがあり、中間支援組織が自立しています。「地域事務所」の存在は、地域に住む人たちが地域の課題を自分たちで改善しようという意識を高めています。経験を語り、人々の反応に耳を傾けること、場を作って情報を知らせることなどの重要性も感じました。最近の日本ではフェアトレード品の販売などを若者が率先して行うなど、新しい世代では意識が確実に変わりつつあることが感じられます。今後、日本では市民活動を若い世代がリードしていくことが期待できるのではないでしょうか。

 

 

(参加者の感想)
・ドイツでは税金が高いため、その使い道にも市民の関心が向いているようだ。
・国や市の財政が公開され、不透明感がない。
・伝統的に自発精神に富み、自分たちの国は自分たちが作っているという意識がある。
・残業がなく、休暇が保障されるなど時間に余裕があり、さらに有給で社会奉仕活動ができる。
・上記のように、市民活動が活性化する背景や仕組みがある。
・日本人はあまり議論をしないが「議論」は市民活動の原点である。いつも同じ人とばかり固まらず、いろいろな人と会話や議論をしたほうがいい。
・大和市も高齢者が増えている。福祉などの活動がいきわたらないと今後困ることになると感じる。
・日本とドイツの税制、国民性や精神性、労働環境の違いなどがわかって刺激になり、参加者の多面的な意見を聞けて話し合えたことが今後につながる。


 

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