大和市民活動センター


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★第98回連続共育セミナー

今回報告する共育セミナーは、オミクロン株の拡大により、まん延防止等重点措置が適用されている中、現場の方の声を伺うシリーズの2回目です。
  現状では芸術、音楽、アートが不要不急とも言われて、大変な思いをされた方も多いと思いますし、公の支援がないと活動が継続できないといった方々も多くいらっしゃると認識しています。
このような中、大田区で、大変熱い想いで、お父さまから受け継いだ居場所的な空間で、広くアート活動を展開、場の提供をされている水口(みなくち)惠子さん(ギャラリー南製作所)、マンドリンが趣味で、人との出会い・つながりから生まれた音楽活動を展開している望月則男(大和市民活動センター)、市民活動・NPO活動を支援する立場から小山紳一郎(しんいちろう)さん(大和市協働推進会議委員)の3名にスピーカーとしておいでいただいて、開催いたしました。その様子を、サポーターの石川美恵子さんが報告いたします。


アートは、不要不急ではなく、社会と切り離せない存在であり、魅力ある人と人の「出会いの場」
市民活動センターサポーター 石川美恵子

共育セミナー当日、朝日新聞朝刊の「ひと」欄に掲載されていた、この4月から東京芸術大学の学長に就任される日比野克彦さんの「SDGsには芸術が必要」、「アートは不要不急ではなく、社会と切り離せない存在」との言葉に勇気をいただくとともに、今回のセミナーのテーマ「街場にアートを、音楽を」と、それにまさに呼応するかのようなセミナーの内容に、幸先のよさを感じ、ZOOMで参加しました。
元機械工場を再利用した多目的スペース「ギャラリー南製作所」を亡きお父さまのお誕生日にオープンしたかったと話された水口恵子さん。お父さまが情熱を注いだ仕事へのリスペクトを「ギャラリー南製作所」の名前にも込めたことから、お父様への思いが伝わってきました。建物の外観からの窓の位置がロゴマークにデザインされているのがとても気に入っているとのお話は、すごく素敵だと思いました。
ギャラリーは100u超の空間が魅力で、自然光、遮光、天井、梁、音響、平面、立体、と利用する人の想像力をかきたてるものとなっていることが分かりました。写真展、絵画展、立体造形展、ジャズライブ等々、魅力的な企画が続いているとのこと。緩やかな繋がりが心地よいとも。みんなが元気になれて、地域が明るくなればと水口さん。本音でふれあえる企画と場づくりをしていきたいと抱負を語り、ジャズ演奏に合わせてダンスをされる、魅力的な人柄に触れたひとときでした。

「ギャラリー南製作所」には、工場時代の鉄くずもそのまま
残してあって、何故か暖かさを覚える

 

 

望月則男さんが発表された 「アンサンブルYU」は大学の同級生2人から始まり12人までメンバーが広がったマンドリンとギターのアンサンブルグループ。
コロナ禍のリモートでの練習には苦労されたようでした。演奏場所が必要なので、「ウィーンホール」の小林さんに相談したところ、キャンセルのあった日に使わせていただいたことや、「YAMATO ART100」に参加できたこと等、人とのつながりの必要性を実感したと語った望月さん。「人のためにやる、みんなのためにやるにしても、実施するには場所が必要だ」と強調されました。
コロナ禍の現在、高齢者施設等での演奏活動はできないので、YouTubeで配信しているとのこと。セミナー終了後、早速演奏を聴かせていただきました。マンドリンとギターの弦の響きが優しく、癒されました。早く、施設で生演奏を聴かせてあげてほしいと思いました。




小山伸一郎さんは障がい者・健常者を問わず、一人ひとりが絵画制作に夢中になり、心の居場所として自由に過ごすことができる、「あーとすたじお源」(横浜市)の取り組みを紹介されました。個の存在と感性を大切に、そっと見守り、そこから生まれるナチュラルアート作品を社会に発信し、社会的自立の可能性を追求している活動に心が熱くなりました。
続いて、多国籍のアーティストと共に人種や国籍、ジャンルの隔たりを超えて、多言語・多文化の環境で創作活動を行っている、岐阜県可児市の多文化共生のための演劇プロジェクトを紹介されました。
知的障がい者、LGBTQの方など7ヶ国からなる、多様な文化を持ったメンバー30人が参加したドキュメンタリー演劇「夏の夜の夢」の上演の様子を語り、「排除の原理ではなく、包摂することにより共生社会が実現する」と強調されました。
さらに、さまざまなハンディキャップを持った人たちが、その人の好きなこと、得意なことで活躍できるようサポートしている施設「studio COOCA」(平塚市)や、茅ヶ崎のコ・ワーキングスペース「Cの辺り」での活動「本とアートと文学と」を紹介。また、瀬谷区の「喫茶バス通り」でのライブ活動やひきこもり家族の居場所づくりなど、地域の居場所づくりを紹介されました。商店街の空き店舗の活用のヒントも述べられ、今後の地域づくりにつなげられればいいなと思いました。



共育セミナーを終えて(雑感)
今回のゲストスピーカーの一人、水口惠子さんとは、NPO法人大森まちづくりカフェが主催する「まちカフェ夜学」で出会った。そこでの惠子さんとご主人との連携によるトークは弾けていて、暖かいオーラが伝わってきた。お父様が残された、小さな町工場跡地を愛し、地域の居場所にしたいという想いが結実した街中のギャラリーと言える。
ところで、水口さん、ZOOMでのスピーカー役は初めての経験ということで、大変緊張されていた。申し訳ないお願いをさせてしまったのだと少し反省。
当センターの望月がご紹介した、ウイーンホール(大和東1-12-4)のオーナーの小林三夫さん。本当はスピーカーに加わっていただきたく、お願いしたのですが、固辞された。それでも、ご紹介したかったのは、市内に民設民営のホールがあり、多くの音楽活動をしている、あるいは音楽ファンの方々の要望に応えていることである。
また、セミナーを開催したおかげで、互いに面識のなかった水口惠子さんと小山紳一郎さんをつなぐこともできた。大和市に「シリウス」がオープンして5年を経過したが、街場のアート活動が活性化することも大事なこと。
これからも中間支援の役割を模索していく。 (船越)