★第104回共育セミナー
8月15日(火)の共育セミナーは、NPO法人ペイン・ヘルスケア・ネットワーク代表理事の江原弘之さんを講師にお迎えして、悩み苦しみ、あるいはそのメカニズムに関心を持たれているだろう「痛み」をテーマに開催いたしました。この日は、旧盆中、そして平日の午後にもかかわらず、スタッフを含めて25名が江原さんのお話に耳を傾けました。
セミナーは、江原さんご自身が中学生のころから悩まされてきた腰痛お話から始まりましたが、その中で印象に残ったのは、@腰痛で、サッカー部の活動を休める。A通っている治療院の院長に言われたことをやっていれば必ずよくなるはず。Bでも、これを続けていて必ずよくなるのかな。C気持ちいいから通院自体は悪くない。というサイクルのお話でした。腰痛、痛みの原因が分からず、「腰痛とは不治の病である」との達観というか、自分を納得させていたということでしたが、2005年に理学療法士になられ、ひとの動きや姿勢について学ばれる中で、治らない腰痛にも原因があると気付き、15年続いたご自身の腰痛に終止符が打たれたというお話は、原因不明の痛みに苦しむ人たちに希望をもたらすものでした。自分の痛みの改善を人任せにするのではなく、自分ごととして向き合い、改善策を探る、自分で専門家を探すことの大切さを再確認するとともに、「痛みを受入れ、そのうえでいかにポジティブに生活するか」ということが重要であることも、フロアーからの発言で気付かされました。
江原さんは、参加者それぞれに、「痛み」と聞いて、どう感じるか、どんなイメージを持っているかをセミナーのはじめ、中盤、最後と3回に渡って、書き出す作業をお願いしました。講義及び会場参加者からの発言とそれに対する江原さんからのアドバイス、コメントによって、参加した皆さんの「痛み」への感じ方、考え方が変わっていっただろうことは大変興味深いことでした。
江原さんによると「慢性疼痛」の代表格は「腰痛」で、腰痛の原因としては、「非特異的腰痛(原因がない腰痛)」は93%ということでしたが、このうち、本当に原因がわからないものは22%ぐらいになってきたということでした。(MRIによる診断ができるようになったことが大きいそう)
痛みに悩み、苦しむ人が「痛みを知り、正しい知識を持って行動し、痛みを客観的にみる。痛みをコントロールできる」ようになることが大切ということを学びました。江原さん、ありがとうございました。 文責:イラスト:望月 則男
当日のアンケート(抜粋) |
●老人ホームで10年勤務したが、いつもからだが痛いという人が多い中で、少し陽に当たりましょうと外に10〜15分行くだけで
明るくなり痛くないという不思議。でも、こういうことなんですね。
●いろいろな人たちの話を聞くことができてよかった。前向きに生活することの大切さを知る。
●このNPOの活動に賛同しました。苦しんでいる人々が多くいることを考えると法案(慢性の痛み対策基本法)制定まで頑張ってほしい
●痛みの捉え方が少しわかったように思います。
●NPOの伴走者も増えていくことを祈っています。
●NPOの先生が心をひとつにして頑張ってください。