大和市民活動センター


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★第105回共育セミナー 

 

今回の共育セミナーは、「地域における多文化共生の実践と課題を考える」という観点から、長年「いちょう下和田団地」において、「外国人も同じ団地に住む仲間」として、公平に寄り添って来られた遠藤武男さんに、「外国籍住民の方との地域交流について」のテーマで報告をいただいた後、団地の外国ルーツの住民代表として、ボリビア出身の照屋カティウスカさんにも加わっていただいて、参加したみなさまとの質疑応答(ワークショップ)の時間となりました。


セミナー・レポート   櫻井美紀子
遠藤武男さんと照屋カティウスカさんのお話を聞きながら、地域住民の交流についてあれこれ考えました。
同じ日本人同士でも難しいのに、異文化の方との交流では、言葉・習慣・宗教などの壁はより高い。遠藤さんは、言葉が分からなくても相手を思う気持ちを持って日本語で話すと、必ず相手が理解してくれると言われる。そして、「会長は何を考えてるの?(企画が)外国人ばかりに集中していないか?」などと言われながらも、50年間、活動をされてきた。セミナーに出ておられた同じ団地の方が、遠藤さんだから出来たと言われていた。誰にでもできることではない。
照屋さんは、明るくて積極的な方で、率直にご自分のことや国民性などを話された。彼女はどなたとでもよい関係を作られるのではないかと思う。
ゴミ出し方についてのエピソードで、何度もお願したが、守ってもらえなかった。しかし、子どもが学校で環境問題について学び、大和市のごみの出しルールを子どもが親に伝えたら、正しく出してもらえるようになったということ。何度もお願したとのことだが、なぜ伝わらなかったのだろう。どういう伝え方だったのだろう。
日本人は「郷に入っては郷に従え」ということをすぐに言うとのことだが、その「郷」のルールを誰が、どう伝える? 言っている人には「来た人が察して守るべきである」という気持ちがないか。この「郷」のルールも時代とともに変わるだろう。などなど、取り留めなく考えましたが正解のない難しい問題ということを再認識したのみ。

遠藤さんが活動を始められた当時、仲間は2人で、その後4人に増えたが、今は遠藤さん一人だけで、日本人住民の高齢化で自治会活動をできる人が減っているとのこと。(自治会活動ができなくなっているのはどこの市町村でも同じで、自治会の加入率も減少している)
遠藤さんのお話ではいちょう下和田団地は、住民の2割ほどの方が10か国にルーツを持つ外国籍住民の方で、住民のほとんどの方が自治会に加入されているとのこと。このような自治会は少ないと思う。外国籍の方々も同じ住民のひとりとして、自治会活動に参加してもらおうとされているそうです。お願いに行ったら「私、日本語分かりません」と日本語で断られることもあるとのことですが、外国籍住民の方々から夏まつりで、その国の売店を出したいというようなお話が出ていると聞きました。子どもたちが楽しめる駄菓子まつりもされたとか。
遠藤さんは頑張って来られましたが、これからは活動の継続が難しいかもと言われていました。
しかし、遠藤さんたちがつないで来られた照屋さんたちがいらっしゃいますし、子どもたちもいます。だから、いちょう下和田団地ならではの活動の花が咲くのではないかと期待しました。


                                  イラスト:望月 則男