★第74回連続共育セミナー
『薬&薬局との上手な付き合い方』
第2回 「薬局との上手な付き合い方」〜気軽に相談できる、顔の見える関係〜
2016年10月15日(土)14:00〜16:00に行われた連続共育セミナーの内容(概要)をお伝えします。
お話:岡ア久代さん (薬剤師)
井上芳子さん (薬剤師)
国もすすめている「門前薬局」から「かかりつけ薬局」へ、気楽に相談できる窓口として、薬剤師の役割などお話しいただきます。
内容
第1部 かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師
【はじめに】
薬局にいらっしゃる方は、年齢にかかわらずドレスアップしてくる人が年々増えていると感じます。みなさんから刺激を受け、元気をもらっています。今年初めてハロウィンの飾りつけをしました。季節感を出していける薬局になりたいと思っています。
【薬局について】
・薬局では、来店できない方のためにご自宅や施設に薬をお届けし、安否確認もしています。
・ 薬の種類が多い人のために、1回に飲む薬を1包にまとめ、「○月○日、朝食後、名前」などの情報を1包ずつ印刷しておくこともできます。これは分包機(ぶんぽうき)という機械で行っています。
・錠剤のシートなども、間違えて出さないようにバーコードで管理する監査システムを使っています。
・薬歴の管理をしています。
・パスモやナナコでも支払いができるようになりました。
・最近は漢方の処方が多くなっています。認知症に効く漢方がすごく売れています。
・親が子どもに希望する職業の2015年第1位は薬剤師でした。
【かかりつけ薬局について】
どこの病院を利用しても、いつも決まった薬局へ処方箋を持って行き薬を調剤してもらうこと、それが「かかりつけ薬局」です。かかりつけ薬局には薬の服用の記録(薬歴)やアレルギー情報などから、副作用や薬の重複の確認をしてもらうことができます。他所の薬局で調剤してもらった薬でも相談ができますし、錠剤を粉にするなど剤形を変えることもできます。市販薬やサプリメントについての相談にもある程度は応じることができ、休日や夜間の相談にも対応します。また、処方箋がなくても薬歴から薬の相談に応じます。
【かかりつけ薬剤師について】
今年(平成28年)4月から「かかりつけ薬剤師」制度がスタートしました。契約(同意書)により、いつも決まった薬剤師を「かかりつけ薬剤師」とすることができます。ひとりの患者さんに対してひとりの薬剤師だけが「かかりつけ薬剤師」になります。もし相性が悪ければ、他の人に変更することもできます。薬剤師が「かかりつけ薬剤師」になるには一定以上の経験が必要です。調剤薬局で3年以上の経験、週32時間以上、同じ薬局に6ヵ月以上勤務していることなどです。大和市内では3割程度の薬局にかかりつけ薬剤師がいます。
(質問1)夜間に相談することはできますか。
(回答1)夜10時〜11時頃までなら携帯電話で出ます。それ以外は夜間の担当者が対応し、翌日かかりつけ薬剤師に申し送りしています。
(質問2)かかりつけ薬剤師制度のメリットは何ですか。
(回答2)服用歴や現在服用している薬を一元的・継続的に把握します。市販薬や健康食品、サプリメントも把握します。これにより複数の診療科を受診している場合など、多剤や重複による相互作用(飲み合わせ)を防止していくことができます。また、服用後の経過を継続してチェックし、薬の効果、体調の変化から医療機関への連絡や提案を行います。残薬が多ければ、医療機関へのフィードバックをして次回の薬の処方を減らすなど調整していきます。24時間、夜間・休日、在宅患者さんへの対応も行います。また、いつでも気軽に相談できるので安心です。
(質問3)料金はかかりますか。
(回答3)これまでの「薬剤服用歴管理指導料」に代わり、「かかりつけ薬剤師指導料」がかかります。1回につき、これまでより20〜30円(1割負担の場合)、60〜100円(3割負担の場合)料金があがります。
※平成27年10月23日、厚生労働省は「患者のための薬局ビジョン」を策定した。ビジョンは「患者本位の医薬分業の実現に向けて、 かかりつけ薬剤師・薬局の今後の姿を明らかにするとともに、団塊の世代が 後期高齢者(75 歳以上)になる2025年、更に10年後の2035年に向けて、中長期的視野に立って、現在の薬局をかかりつけ薬局に再編する道筋を提示する」ものである。また、「患者のための」としているのは、ビジョンが「患者・住民にとって真に必要な薬局の機能を明らかにする」ものであるとともに、医薬分業が本来目指す、患者・住民が医薬品、薬物療法等に関して安心して相談でき、患者ごとに最適な薬物療法を受けられるような薬局のあり方を目指すことを指している。 後発医薬品の使用促進や在宅医療での残薬管理により薬剤費の削減をはかることで医療費の適正化にもつながる。
第2部 薬に関する豆知識
【薬が吸収されるまで−柑橘類が影響する理由】
口から入った薬は胃を通過し、小腸の粘膜から吸収されます。門脈(肝臓へ入る太い静脈)を通り肝臓で代謝され、全身へ送られます。小腸の粘膜にはたくさんの消化酵素が住んでいますが、グレープフルーツに含まれる成分により消化酵素が死んでしまうことで(3日間ほどいなくなる)、薬が分解できずに効きすぎてしまいます。3〜4日間ほど影響します。グレープフルーツジュースでも同じです。どの薬が影響を受けるのか、薬剤師に確認してください。
グレープフルーツなどぶんたんの系統の柑橘類は薬に影響が出ます。ぶんたん、グレープフルーツ、夏ミカン、はっさく、伊予かん、スウィーティ―、晩白柚、きんかん、ぽんかん、だいだい、などです。
柑橘類で薬に影響のないものはみかん、オレンジ、レモン、カボスなどです。
【鉄剤+お茶(タンニン)】
以前は鉄剤とお茶やコーヒーは一緒に飲んではいけいないと言われていました。鉄がタンニンと結合するために体内へ吸収される量が減ってしまうとされていましたが、最近は影響がないとわかってきました。鉄分が足りない人の腸管はどんな鉄でも逃さずに取り入れることができるため、タンニンの影響を受けることはありません。お茶で飲んでも水で飲んでも同じです。
【終わりに】
(質問1) 服薬用のゼリーで飲んでいますが、 他のものでも大丈夫でしょうか。
(答え1)自分でゼリーの元を買って、作っている方もいます。
(質問2) 薬をお茶や麦茶で飲んでも大丈夫でしょうか。
(答え2) だいたいは大丈夫です。
(質問3) 漢方も薬局に置いてありますか。
(答え3)置いてあります。保険がきくものもあります。漢方薬は空腹時に服用するものが多いです。最低でも1か月は飲んでほしいです。