大和市民活動センター


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★第75回連続共育セミナー

「人の集まる魅力的な企画」の立て方

   〜仕組みづくりと仕掛けづくり〜

 

広報用チラシ(PDF)

2016年10月15日(土)14:00〜16:00に行われた連続共育セミナーの内容(概要)をお伝えします。

 

講師:杉下由輝さん
  (仕組み・仕掛けづくりアナリスト、さがみの国大和フィルムコミッション顧問、
    NPO法人湘南市民メディアネットワーク理事)
    

人が集まらない・・・、協賛金が集まらない・・・ 駐車場がない・・・、スタッフの動きがバラバラ・・・、など。

イベントでの悩みがある方、一緒に解決しましょう!

 

 

内容

【100−1=???】
「100−1」の答えは何でしょうか?答えは「0」です。クリスマスのデートでフランス料理のフルコースを予約しました。緊張して震えながら店に入るとサービスも料理も素晴らしく、彼女も喜んでいます。でも最後のデザートの中からゴキブリが飛び出してきたら・・・それまでがどんなに良くても全てが失敗になります。活動の中で「俺はがんばっている」「私もがんばっている」とそれぞれが思っていても、(イベントは)失敗していませんか?

 

しょせん個の力は小さいものと理解して市民活動やビジネスをやっていきましょう。組織には日の当たる人、日の当たらない人がいます。華やかな営業職にくらべ、経理の仕事は地味に見えます。でも経理の人がいなかったら営業の人が自分で経理をしなくてはなりません。「神輿に乗る人作る人、そのまた草鞋を作る人」というように、それぞれに役割があり、それぞれに意味があることを理解しましょう。思いやりの心をベースにした考え方がなければ組織や活動はうまくいきません。

 

 

【“目的”と“手段”】 
イベントを開催した後に、「知っていれば行ったのに」「知っていれば協力したのに」「知っていれば協賛したのに」「・・・したのに」と言われることがあります。そして、いつも結局改善できないままです。なぜでしょうか。「目的」と「手段」を意識するようにしましょう。イベントのチラシを作って、配ればそれで満足してしまっていませんか。目的はイベントを知ってもらい、来てもらうことです。チラシはそのための手段です。目的を達成するためにはどのようなチラシを作ればよいか、どこに配ればよいか考えなければいけません。

 

 

【カマスの法則】      
水槽を透明な板で2つに仕切ります。一方にカマスを入れ、もう一方にカマスの餌となる小魚を入れます。カマスは小魚を食べようとしますが、透明な板にぶつかり食べることができません。しばらくして板をはずしても、カマスはもう小魚のいる方へ行こうとしません。これがカマスの法則です。組織に新しい人が入ってきて意見を言った時、以前からいた人が「今までやってきたけど、そんなの無理!」と言ったりします。経験値やキャリアが「だめだ」「無理だ」と言わせます。自ら透明な板を入れていませんか?自分を閉鎖的にしていませんか?新しい人の意見をしっかり聞いて、やってみて、結果がダメだったら、その時検証する。トライ&エラーをしてみましょう。

 

 

【クイズ:ゴミ箱にゴミを捨てたら怒られました。何故?】
ゴミ箱にゴミを捨てたら怒られました。なぜでしょうか―?答えは「売り物だったから」。全く同じゴミ箱でも、お店にある時はゴミは捨ててはいけないし、買って自分のものにすれば、ゴミを捨ててよい。見た目は変わらなくても、内容や意味合いが変わっています。全く同じイベントでも、それを行う時期によって意味合いが変わったりします。

 

 

【“仕組みづくり”と“仕掛けづくり”は違う!】
2014年8月14日(日)、寒川町のさむかわ中央公園で「寒川びっちょり祭」が開催されました。時間は午前10時から午後4時まで。午後4時からは寒川総合体育館で「全日本プロレス チャリティー寒川大会―すわまちおこしVol.10」が開催されました。体育館は中央公園内にあり、びっちょり祭とプロレス大会はコラボ開催することになりました。さて、プロレスラ―のみなさんの昼食はびっちょり祭でとってもらうことにして食券を購入しました。びっちょり祭にプロレスラーが現れると、お店の人などがSNSで「選手が来ています」と広めてくれました。びっちょり祭に来て、プロレスも見ていった人もいるでしょう。プロレス大会の開催は仕組みづくりです。食券購入が「仕掛けづくり」です。



【“集客力”から“留客力”へ】
最近はショッピングモールが流行っています。ものを購入してもらうためには、長時間留まってもらうことが効果的だからです。モールでは人々は買い物して、フードコートに寄り、また買い物をしています。1店舗では弱いのですが、複合型店舗にすることで「留客」することができます。ヤマハはピアノ教室をたくさん開いていますが、その目的はピアノを売ることです。ピアノを売るための手段として教室を開いています。「目的」と「手段」を整理しましょう。

 

成人式の前には振袖のダイレクトメールが届きます。19歳になる時に一斉にダイレクトメールを送るそうです。次は1月の成人式の前後です。早すぎる時期に届けても効果がありません。ダイレクトメールを送るのにも「時間軸」を考えて送ります。

 

カセットテープの時代、メーカーは「いちご戦略」を行っていました。「いちご」とは15歳のこと。15歳になると自分のおこづかいで、自分の意志でものを買えるようになるので、その時に自分たちのメーカーのテープを買ってもらおうという戦略です。1回買うと同じメーカーでそろえたくなるということもあるので、一番最初にどこのものを買うかというのは企業にとっては大切なことだからです。顧客育成戦略です。

 

 

【“質”でダメなら“量”でやれ!】
「メガ盛り」をすればSNSで拡散させてもらえます。質でダメなら量でやってみましょう。イベントに「キッズダンス」を入れると、親が来ますから子どもの人数の2倍の集客は期待できます。この時も「時間軸」を意識しましょう。お昼前にキッズダンスを入れれば、ダンスの後にお店で昼食をとってもらえます。

 

 

【マッサージチェアの法則】

マッサージチェアを作る会社で、20代、30代の女性にマッサージチェアが売れていることがわかり、この購買層向けのマッサージチェアを開発することになりました。「かわいいマッサージチェア」を作ったところ、売れませんでした。なぜでしょうか。アンケートの結果から、半分の人は自分のためではなく、親のために購入していたことがわかりました。そこで、今度はメガネや新聞を置けるラックをつけた商品を作ると売れました。勝った人が使うと思い込んでいた、つまり会社は「自分目線」でものを考えていたのです。「相手目線」を考えましょう。

 

カルピスはとても人気がありましたが、いろんな飲料水が出る中でだんだん売り上げが落ちてきました。なぜなのか調べてみると、カルピスはコップに入れて水で薄めないと飲めないので、「面倒だ」と感じている人が多いとわかりました。これが「相手目線」です。そこで薄めなくても飲める「カルピスウォーター」を発売したところ、売り上げはV字回復しました。

 

 

 

【駐車場が少ないから人が集まらない!?】

「駐車場が少ないから(イベントに)人が集まらない」―これは自分目線です。来る人にとっては駐車場のあり、なしは関係ないです。イベントが楽しいかどうかで行くかどうか決めています。イベントという「仕組み」に、人を集める「仕掛け」をしましょう。11月にイベントを行うならば、11月第3木曜日のボジョレー・ヌーヴォー解禁日にちなんでワインを出すイベントにしてみる、地ビールも出すなど、仕掛けをつくりましょう。これなら駐車場もいりませんよね。

 

 

【インターネットの活用!?】
「どんなイベントをやっているかな?」と市役所のホームページを見る人はいません。(知っているイベントの)場所を調べるくらいです。Facebookの「いいね!」は町内会の回覧板のハンコと同じです。ホームページやFacebookは手段なので、これで何を発信するかを考えないといけません。広報戦略もしっかりと考えないといけないんですね。

 

 

【チラシの作り方は!?】
新聞の折り込みチラシ、人は0.5秒しか見ません。その0.5秒で目に留まらないとだめです。イベントチラシの場合はラックに入れられることが多いですが、下のラックと重なり見えない部分も多いです。チラシの上1/4に伝えたいことを集約しましょう。会場の地図や、電話番号は市外局番など、基本的なことも入れましょう。チラシは1か所につき5枚以内が適正ではないでしょうか。何十枚置いても残るだけです。たくさん置けばいいというのは自分目線の自己満足です。場所は一番手前が良いでしょう。ためしに「できれば一番手前に置いてもらえませんか?」と言ってみましょう。ポスターは室内に貼っても見る人が少ないです。小さくても外に向けて貼ってもらう方が効果的です。ポスターは貼るのが目的でしょうか?違います。見てもらって来てもらうことが目的です。貼るのはあくまでも「手段」ですね。チラシのポスティングも順番に入れるのが目的ではありません。子ども向けのイベントならば子どもの自転車や傘が置いてある家にいれるものです。マンションではどうでしょうか。ファミリータイプのマンションに行くことです。夜に行けば子どもの自転車がありますから、どのくらい子どもがいるかわかります。イベントもポスティングも目的と手段はなんだろうと考えて戦略を立てるとうまくいきます。

 


【協賛金の集め方】
「会社のPRになる」「社会貢献になる」。こう言えばお金を出してくれると思い込んでいませんか…?企業はこのために協賛して広告を出すのだから当たり前の話です。禁句です。江ノ島では「ビーチクリーン」などの清掃活動がたくさんあり、企業には毎日といっていいほど協賛金の話が来ています。フリーペーパーもたくさん作られています。企業は「(広告を出して)お客さん増えるの?」と思っています。これ以外で「協賛金お願いします」と言えるかどうかです。2014年2月11日、「全日本プロレス チャリティー大和大会 〜すわまちおこしVol.3〜」が大和スポーツセンターを会場に開催されました。大和市も全面的に協力し、大和市イベントキャラクターのヤマトンがチャンピオンベルトをして出てきてテレビ中継もされ、東スポにも記事が出て大和市をPRすることができました。この大会は京都や沖縄の企業からも協賛金が集まりました。「市外・県外からは協賛金は集まらない」と透明の板(カマスの法則)をはめていませんか?大和市にゆかりの人で協力したい人はたくさんいます。「愛する大和で大和を盛り上げるイベントをするので協賛しませんか?」と発信したらどうでしょうか。協賛金こそネットを使ってみましょう。

 

 

【ホテルのサービスは?】
チェックインからチェックアウトまでがホテルのサービスではありません。お客様にとっては「宿泊」ではなく「旅行」なのだという相手目線が大切です。予定の段階から帰宅までが旅行です。冬の箱根に旅行する時、雪が心配です。道路の状況、電車など、電話がかかってきて教えてもらえたらどんなに嬉しいでしょうか。帰りの観光予定を聞いて割引券があれば「よろしければお持ちください」と声をかけてみたら、お客様はどう感じるでしょうか。コストもかからず、地元だから詳しいことを伝えてあげるのが付加価値、おもてなしの心のサービスです。

 

 

 

【フィルムコミッション】
映画『ローマの休日』は1953年の作品です。60年以上経った今でも「真実の口のシーン」を観光客が真似して楽しんでいます。 日本ではドラマ『北の国から』で富良野市がブームになりました。韓国ドラマ『冬のソナタ』で日本では韓流ブームが起こり、ドラマのロケ地をたくさんの日本人が訪れました。大和市内ではドラマ『昼顔』の最初のシーンが泉の森で撮影されました。台湾から泉の森に観光に来る人がいました。ドラマ『ビューティフルライフ』の公園のシーンは藤沢市内の墓苑で撮影されました。主演の木村拓哉さんが気に入り、他のドラマでもまた藤沢で撮影したいと希望されました。老朽化した市営住宅団地、下水処理場の地下通路は刑事ドラマで使用されました。映画『陽だまりの彼女』は江ノ島が舞台でした。主演の松本潤さんが映画の中でお饅頭やお煎餅を食べたお店にはとてもたくさんの人が訪れるようになりました。座った椅子は「まつじゅんシート」と言われています。スカイラインのCMに出てきた北海道美瑛町の「ケンとメリーの木」は40年以上経っても地域の財産になっています。横浜市瀬谷区の大型複合タウン「マークスプリングス」は入居条件に撮影の協力があることを入れており、撮影時には地域として費用を徴収しました。その結果、映画やドラマの撮影によって資産価値があがりました。地域のお店や個人宅にドラマや映画に出てもらうことが大和のPRにつながります。まちすべてがダイヤの原石です。

 

 

【まとめ】

“仕組みづくり”と“仕掛けづくり”は違うことを理解しましょう。“目的”と“手段”を整理しましょう。

 

 

 

【質疑応答】

(質問1)アンケートの上手な取り方を教えてください。

(答え1)アンケートは何のためにやるのでしょうか?“目的”と“手段”を考えましょう。必要な情報を得たいから行うのですよね。質問項目が多いと書くのが嫌になります。本当に聞きたいことだけを項目にしましょう。住んでいる地域を聞いて何になりますか?項目は5つまでにして、5つ目の項目は自由記述欄にしましょう。

 

(質問2)講師の杉下さんは肩書が20以上もありますが、どうすればフットワーク良くできるのですか。
(答え2)いろいろやっていると時間的には辛いです。でも違うジャンルのところに行くとひらめきも出るし、精神的にも良かったりします。ただ、時間もコストですから言いたいことは簡潔にしています。新しいことを始めるときも言いたいことはいっぱいあるけれど1分でどれだけ伝えられるかちゃんと考えていきます。アポなしで行くことも多いので、忙しい相手の時間のコストを考えます。みなさんも「いったい何を言いたいの?何をこっちに求めているの?」と思うことがいっぱいあると思います。

 

この他、お店の看板について、小学校創立70周年のイベントについてなどの質問がありました。

 

 

(終わりに)

今回は1時間45分、ノンストップのセミナーでした。時折、笑いをはさみながらのテンポよいお話に気が逸れる暇がありません。
漫然と 「イベントを開きます」というだけでは人が集まるわけもなく、「人の集まる魅力的な企画」にするには、そのための“仕掛け”をする必要があり、どんなことをするにも何を“目的”にしているのか、目的を達成するためにはどうすればいいか(“手段”)を意識することが大切だということを様々な例から学ぶことができました。イベントや企画を成功させたいならば、成功させるためにはどうすれば良いかをまず考えることが必要なのですね。

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