大和市民活動センター


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★第101回共育セミナー 

ウイズコロナ、ポストコロナ時代の社会貢献活動
その5 スローコミュニケーション すべての「伝えたい」が歓迎されるまちへ

 第101回の共育セミナーを2月18日(土)に久しぶりに会場参加のみで開催しました。コロナが3年を経過し、ようやく収束しようとする中、市民活動が人と人をつなぐ意味で、大きな役割を果たすことには変わりはない観点から、社会貢献活動に関わる多くの人々にエールを送り、一歩踏み出す勇気を持つ人を後押ししたいという趣旨で、このセミナーを継続開催しています。

 今回は、一般社団法人4Hearts(ひと・まち・コミュニケーションデザイン)代表理事で、産業カウンセラーの那須かおりさんをゲストスピーカーに、津金(つがね)愛佳さんを手話通訳としてお招きして、9名の参加を得て開催しました。トークセッション1では、那須さんの個人ヒストリー、体験談と聴覚障がい者(きこえない・きこえにくい人たち)の社会的ハンディキャップや心の問題といったさまざまな社会課題をお話しいただきました。トークセッション2では、@「参加者が耳栓をした上で、かなり大きなノイズが流れて、外部音が聞こえなくなるという特別なヘッドフォンを装着して、ベテルギウス内を歩く」、A「そのヘッドフォンを交代で付けて、那須さん『今日のお昼、何を食べましたか』、『好きな色は何ですか』と聞かれて、どう答えるか」の2つの体験研修を行いました。
 共育セミナーで、さまざまな障がい、障がい者をテーマにして開催したことはあったと思いますが、障がいのある当事者の方をお招きして開催したのは初めてなのかもしれません。
 本紙面では、当日の様子を写真で紹介するのに加えて、当日参加された方のアンケートと(一社)4Heartsの活動理念と活動内容をご紹介させていただきます。
 4歳のときに、生まれつき聞こえないとわかり、人工内耳手術をされている那須さんは、今回初めて、個人ヒストリーを語るためのパワーポイントを作成されたそう。辛い体験談を、でも前向きに語っていただいた那須さん、そして、参加者がマスクをしているため、余計に話し言葉を理解しにくいために、手話通訳をしていただいた津金さん(4Hearts理事)に感謝。
 スローコミュニケーションの大切さ、可能性を体感した1日になりました。
                           文責:船越 英一 イラスト:望月 則男

4Heartsをけん引する両輪の那須さんと津金さん。茅ヶ崎駅南口からほど近いところのBARを借りて、一時、月3回のランチ営業をされていた。そこでの共通語は、「手話」。手話のできないぼくは肩身の狭い思いをした?そんなことはない?今は、その場所で不定期で居酒屋をやっているとか。皆さんも是非一度飲みにお出掛けを!

 

受講者のアンケートから   ●:アンケート原文 →:編集者コメント

 

●生まれつき耳が聞こえなくて、こんなきれいな日本語に驚きました。自分の思うところに強い意志を持って、非常に困難なことを成し遂げた那須さんからすごく勇気をもらいました。(有志者事竟成 中国のことわざ)素晴らしい感動なお話と貴重な体験(ワークショップ)ありがとうございます。大変勉強になりました。

→ 那須さんは、本当に「努力の人、不屈の人」と感じました。転機となるような大きな壁が現れてもそれを何度も乗り越えてきている。超プラス思考の方だと感じました。

●那須さんが体験してきた苦しみや怒りはわかりきることはむずかしいですが、それを糧としてキラキラ輝いて使命に生きていることはわかりました。すばらしいです。ありがとうございます。

→ 4HeartsのVision(私たちの実現したい社会)=情報コミュニケーションから誰一人取り残されない社会。Mission(私たちの役割)=こころでつながる越境コミュニケーションの実現に向けて疾走している那須かおりさん。

●私には発達障がいの息子がおります。「区別・差別はついてまわる」と言われた事があります。共に生きやすい社会が来るよう私も微力ながら頑張ります。
→4Heartsには、聴覚障がい者の那須さん、手話通訳士の津金さんのほかに、在日の方、難病当事者の方もいらっしゃり活動されています。

●認知症の高齢者、知的障害を持つ人の支援をしています。今日のセミナーで「その人に合ったコミュニケーションを関係性を築きながらみつけていく」というお話は、すべてに通じると思いました。ありがとうございました。

→「スロー」とは相手の事情を一歩創造する「こころのゆとり」ということだそうです。

トークセッション2の、2つ目のワークショップとして、「高ノイズを発するヘッドフォンを交代で付けて、みんなで雑談『今日のお昼、何を食べましたか』、『好きな色は何ですか』と聞かれて、コミュニケーションから取り残される」体験研修。ホワイトボードに「お昼」って書いてあるけど、これがないと、何を聞かれているのかわからないので、答えようがない。すると人は、ニコッと笑ってやり過ごすものだということを体験。普段人は笑っている相手を見て、伝わっているものとして流してしまっていることを再認識。
  那須さんは、4Heartsの活動を多様な方々を巻き込みながら、協力してくれる人に負い目を感じてしまう当事者心理に気づいたという。また、現状では、コロナ禍によるマスクでコミュニケーションが取れないとか、八百屋や魚屋などで、「今日のお勧め」を聞きながら買いたいなど、困っている人の存在が認識されていない現状があるという。
  障がいのある人の周囲にいる人が、今日のような体験を通して気づき、ジブンゴト化し、やってみようとワクワク感を持つ。そしてバリアを感じている当事者は、自分の可能性を知り、「諦め」を「勇気」に変え、やってみたいが生まれる。その両者の間に新しい「越境コミュニケーションが生まれる」(那須さんの講義資料より)

●実際に音の無い状況に置かれ、私たちは耳からたくさんの情報を得ていたのだと実感しました。情報が入らないことの不安に今さらながら気付くことができ、聴覚障がい者の方の苦労が自分事になりました。幼児期の早い段階で適切な支援につなげることも大切です。
●是非ともこれからも活動を続けてください。いろいろと活動が広がっているようで頼もしいです。耳が聴こえない(その体験が難しいこともよくわかりました)無音の世界ではない方もおられることは聞いたことあります。

→大きなノイズが流れて、外部音が聞こえない状態で、ベテルギウス内を探検。聴覚障がいのある方の体験をほんの少しだけする。自然と手振りでなんとか伝えようとする。私たち(セミナー参加者)は、すぐに聞こえる(音のある社会)に戻れるが、聴覚障がいのある方は、その状態がずっと続く。そんな体験をほんの少しだけした。
  那須さんのお話しによると日本の難聴者数は推計で約1,430万人。全人口の11.3%に当たる。さらに聞き取りに不安を持っている人は3人に1人。「耳が遠い」といわれる加齢性難聴の方は、75歳以上の70%にのぼるそう。また、難聴の方は、聞こえないからと耳元で大声で話しかけられるのを屈辱的と思うそう。やってしまいがちで、私の父は、混合性難聴という障がい者2級の手帳を持っていて、私が人前で大声で話さなければならないことをしばらく恥ずかしく思っていましたが、実際は逆であることを気づかされました。


一部の写真は、4Heartsさんよりご提供頂きました。
「よくここまで頑張ってこられましたね。立派な生き方だと深い感動を覚えました」とアンケートにありました。
  那須さんの奮闘にエールを送りつつ、多様な方々とつながる「越境コミュニケーション」を広めたいものです。

 

一般社団法人4Heartsのスローコミュニケーションプロジェクト:相手の立場を想像する「こころのゆとり」があれば、ひととひとの間にあたたかなつながりが育まれ、誰もが生きやすいまちになるのではないでしょうか。まずは目の前の人を大切にすることから、はじめてみませんか?